ARCは2001年度、「ARCソマリアワーキンググループ」を組織し、写真家の谷本美加さんとともに、ソマリアの戦争トラウマ問題を広める写真展を東京、横浜などで開催して来ました。この間多くの人々やメディアの関心を集めることができました。この写真展をきっかけに、2003年1月、草の根出版会より「ソマリア、心の傷あと(母と子でみるシリーズA27)」が出版されました。写真展や報告会の会場では多くの方から募金をお寄せいただき、この募金は谷本さんがソマリアを訪れた際に、現地のトラウマ療養施設の支援に使用させていただきました。
報 告
募金は、ソマリア北部のボラマという町にある精神障害者施設“ナスルッラー”に対するサポートというかたちで使わせていただきました。“ナスルッラー”は、ソマリアのNGOで、ボラマでたった一つの精神障害者をケアする施設です。といっても、資金不足で施設と呼べるような建物はなく、患者たちは粗末なテントで、あるいは野外で、風雨にさらされながら寝起きをしています。食事もとても満足なものとは言えません。精神障害に加え、住・食生活環境の劣悪さから、その他の身体的疾病を併発する患者が当たり前のようになっています。そこで今回は、風雨、特に雨から体を守る為の対策としてテント用ビニールシート、そして毛布、食料、医薬品などを、“ナスルッラー”のスタッフと共に、現地で購入しました。詳細は以下のようになります。
テント用ビニールシート20枚(1枚10$)・・・・・200$
中古の毛布30枚(1枚6$)・・・・・・・・・・・・180$
医薬品(安定剤・ビタミン剤・鎮静剤など)・・・・・・・14$
米100kg・小麦粉100kg・ソルガム100kg
サラダ油・砂糖100kg・紅茶1kg・石鹸・・・・・240$
大なべ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50$
やかん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20$
皿とカップ12個づつ・・・・・・・・・・・・・・・・・50$
小麦粉を練るバケツ・なべ(小)・洗濯桶・・・・・・・・70$
合計・・・・・・・・・・・・・・・824$(108,685円)
(1$:131.9円)
上記の食料で、おそらく1ヶ月程度は患者の食事がまかなえるものと思われます。
2ヶ月目以降の食事はどうするのかと問われると、今のところ継続支援というかたちは難しく、断続的なものになりますが、次回に向けて良策を考えていこうと思っています。
なによりも、患者・患者の家族・現地のスタッフ・医師はもとより、ボラマの地方自治体の方々にも大変喜んでいただき、サポートした方としても大変嬉しく思っています。また、ボラマでは今回のサポートがちょっとした話題になり、地元のTV局・ラジオ局・新聞社が取り上げてくださいました。こういった活動が、精神障害者に対する理解につながるといいと思っています。
(報告:谷本美加)